多肉植物の土づくりに挑戦!基本用土・改良土の違いと配合時の注意点を解説!
多肉植物の栽培をする時、市販の土を使うのは便利で簡単。だけど、「自分で配合土を作ってみたい!」と思ったこと、ありませんか?
オリジナルの配合土は、自分でレシピを考えて作る分手間はかかりますが、より自分の栽培環境や育てる苗にマッチした土作りができるのが魅力です。
でも、土づくりの基本である「基本用土」や「配合土」について調べてみても、園芸用の情報ばかりで、「多肉植物にはどう使えばいいの?」という情報ってなかなか見つからなかったりしますよね。
そこで、この記事では、多肉植物のための土づくりに役立つ基礎知識を分かりやすく解説していきます。
多肉植物に良く使われる基本用土と改良土の違いはもちろん、オリジナルの配合土を作る時の注意点についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください!
多肉植物に良く使われる基本用土と改良土
配合土を作る際には欠かせない基本用土と改良土。
ここでは、それぞれの種類と特徴を紹介していきます。
すべての種類を網羅しているわけではありませんが、多肉植物によく使われるものをピックアップしたので、参考にしてみてください!
基本用土
土壌の半分以上を占める土を基本用土と言います。
要は土を配合する時にベースとなる土のことですね。
長所もあれば短所もあり、単独で使うと排水性や通気性などの性質が偏ってしまう事があるので、短所を補い合うように、いくつかの土を混ぜ合わせて使う事が多いです。
赤玉土(あかだまつち)
サボテンや観葉植物によく使うおなじみの用土。
多肉植物の中では、ハオルチアやアガベと言った品種によく使用される用土で、エケベリアにはあまり使わないか、配合量を少なくしている場合が多いと思います。
通気性や排水性、保水性のバランスが良いので、いろいろな植物に使える優れた土です。
鹿沼土(かぬまつち)
火山灰が堆積して風化してできた軽石の一種。
保水性と排水性のバランスに優れていて、多肉植物の基本用土と言えばこの土!
多孔質なので通気性にも優れますが、肥料を留めておく保肥力はやや低めです。
改良土
改良土は基本用土に混ぜる事で、排水性などの性質を改善するために使います。
改良土を選ぶ時は、配合に使用する基本用土の欠点を補うような性質の改良土を選ぶのがポイントです。
ピートモス
ミズゴケなどの植物が長年堆積してできた泥炭が原料の改良土。
繊維質を含むフワフワとした土で、保水性や通気性、保肥力の改善に向きます。
そのままの状態だと強酸性を示すのが特徴。
そのため、市販されているものには、酸度が調整されているものと未調整のものの2種類があるので、購入時にはあらかじめ確認しておきましょう。
ただ、多くの多肉植物は弱酸性の土壌を好むため、少し混ぜ合わせるくらいであればどちらを使用しても問題ないことが多いと思います。
パーライト
ガラス質の火山岩を人工的に高温加熱し、急激に水分を蒸発させて作った土壌改良材。
真珠岩パーライトと黒曜石パーライトの2種類がありますが、一般的にパーライトと呼ばれるのは真珠岩パーライトの方。
多孔質構造で黒曜石パーライトは排水性や通気性の向上、真珠岩パーライトは保水性の向上が期待できます。
pH値も中性のため、多肉植物を含む多くの植物に適した改良土です。
バーミキュライト
こちらも鉱物を原料に、人工的に高温で加熱処理をしたもの。
パーライトと同じく多孔質で、排水性や保水性、通気性の改善が期待できるという共通点があります。pH値が中性なのも同じですね。
パーライトに比べてやや保水性や保肥力が高く、基本用土に混ぜることで肥料を長く土中に留めておくことができます。
様々な粒のサイズの物が販売されていますが、大きめの砂状のものが入手しやすいです。
くん炭
籾殻などの有機物を燃やして炭化させた土壌改良材。
多孔質で保水性、排水性、通気性の向上が期待できます。
他の改良土と異なるのは、ミネラルを含むため若干の肥料効果が期待できるのと、pH値がアルカリ性のため、酸性の土壌を中和するのにも役立つと言うこと。
多肉植物の中ではハオルチアのオリジナル配合土に使われる事が多い改良土です。
軽石
火山岩由来の多孔質の物質。
とにかく排水性と通気性が高く、乾燥状態を好む多肉植物に適した改良材と言えます。
一方で、地域によっては鹿沼土よりも入手しづらいという声も。
鉢底石として使うこともできますし、土と混ぜ合わせても使えるため、植え替えなどが必要になった時に再利用しやすいのはメリットと言えるでしょう。
ホームセンターで安く手に入る培養土を使っても良い?
多肉植物のオリジナル配合土のレシピなんかをみていると、よく目にする「培養土」。
一般的に「培養土」とは特定の植物用に排水性や通気性などが配合された土を指しますが、オリジナルのレシピに載っている「培養土」は、ホームセンターなどで安く売っている培養土「花と野菜の土」を指す事が多いです。
自分で配合土を作る時、もちろん排水性や通気性などの機能面も大切ですが、その一方で、かけられるお金には限度がありますし、コストは抑えられるに越した事はないですよね。
「花と野菜の土」は多肉植物専用の培養土ではありませんが、こうしたホームセンターで安く手に入る培養土も多肉植物に使用することができます。
これならあまりコストをかけず、入手も簡単なのでオリジナルの配合土づくりには大きな味方。
ただ、注意点もあって、多肉植物にとっては大きなバークが邪魔になったり、排水性が物足りないと感じる事も。
そのため、オリジナルの配合土を作られている方の中には、バークが少ない培養土を利用したり、排水性の良い他の土と混ぜ合わせたり、完成したオリジナル配合土を最後に目の粗いふるいにかけてバークを取り除いたりと、多肉植物向けに工夫して使用している方が多い印象。
ホームセンターの培養土を使いたい場合は、配合の割合や大きなバークに注意しながら使うのがポイントです!
土を配合するときに気をつけたいこと
ここからは、実際にオリジナルの配合土を作る時に気を付けるポイントを3つほど紹介します。
上で紹介した基本用土や改良土の種類と合わせて、こちらも参考にしてみてくださいね。
粒の大きさ
土の粒の大きさは排水性や通気性に関係する重要な要素。
粒の大きさ順に
大粒>中粒>小粒>細粒
と分類されて販売されています。
一般的に、粒が大きくなるほど排水性や通気性は向上しますが、その分、保水性や保肥力は低下する傾向にあります。
多肉植物の栽培に関しては好みがわかれるところではありますが、小粒~細粒くらいのサイズの土を使用している人が多い印象です。
ただし、葉挿しをする場合は、根がはりやすいように細かい用土を選ぶのがオススメ!
硬質と上質
市販の土の中には、パッケージに「硬質」や「上質」と書かれているものがあります。
筆者もあまり気にしたことがなかったので調べてみたのですが、それぞれに明確な基準はないようで、生産している方の基準に頼る形になっているようです。
ただ、一般的には「硬質」のものの方が粒が硬く、形が崩れにくいため長く粒状の状態を保つことができ、排水性や通気性の観点から見ると硬質の方が優れているようです。
実際に多肉植物を育てているベテランさんたちも、使い分けは人によって様々なようで、あまり気にせず普通の土を使っている人もいれば、硬質一択!という方も。
ちなみに、赤玉土の硬質を使いたい場合は、二本線赤玉土が良く使われていて人気のようです。
微塵は多肉植物の大敵
土には微塵と呼ばれる細かい粒が含まれていて、これが多肉植物の大敵。
どうしてかと言うと、微塵が原因で根腐れを引き起こす原因になることがあるからです。
せっかく排水性の良い土を作っても、細かい微塵が土の隙間に挟まってしまうことで、水の通り道を塞いでしまい、通気性や排水性を低下させてしまうのです。
そのため、粒状の土を使う場合はふるいなどを使って微塵抜きをするのがオススメ。
なんでもかんでも振るう必要はなく、ピートモスや培養土については、微塵を取り除く必要はありません。
まとめ
今回は、多肉植物の土づくりに欠かせない基本用土と改良土について、種類や特徴、注意点をお伝えしました。
記事のまとめは以下の通りです。
- 「基本用土」は配合土のベースになる土。単体だと排水性や通気性などの性質が偏りがち。
- 「改良土」は基本用土の性質を補完するために使用するもの。保水性や保肥力など、土のバランスを整えるのに役立つ。
- ホームセンターで安く手に入る培養土も多肉植物に使用可能。ただし、使用する時は、配合の割合やバークに気をつけて。
- 配合土を作る時は、粒の大きさや硬質・上質の選び方、微塵にも注意が必要。
どんな土が最適かは、栽培環境や品種によって異なるので、最初から各自の環境に合ったドンピシャの配合土を作ることは難しいかもしれません。
でも、少々配合の割合が合わなかったからといって、すぐに苗が枯れてしまう事は少ないですし、配合の割合は徐々に調整していくことも可能。試行錯誤した分、自分好みの可愛い苗に育てられた時は、喜びもきっと大きいはずです!
ぜひ、苗の様子を観察しつつ、楽しみながら土づくりに挑戦してみて下さいね!
執筆・執筆協力
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実家から株分けしてもらったポトスをキッカケに植物にハマる。
今までに育ててきた植物は10種類くらい。もっと色々な植物にも挑戦するべく日々勉強中です。
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