多肉植物の「土」と「肥料」について、選び方の基本と失敗しない育て方のポイントを紹介
見た目が可愛くて始めた多肉植物。
でも、実際に育ててみると「肥料ってコレで良いのかな?」「とりあえず”多肉植物”って書いてある土を買ってみたけど、なぜかうまくいかない…」など、分からない事やうまくいかないことも多いですよね。
特に、最近多肉植物を育て始めたという初心者の方にとっては、「土も肥料も種類が多くてどれが良いのか分からない!」と言う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、多肉植物のための土や肥料の選び方を、育て方のポイントとともにわかりやすくご紹介します。
今まで「なんとなく」で土や肥料を選んでいた方も、この記事を読めば「この土を試してみようかな?」「うちの環境にはこの肥料が合いそう!」と、納得して選べるようになるはず!
ぜひ最後まで読んで、参考にしてみてくださいね!
この記事の目次
多肉植物に専用の土を使う理由
多肉植物の栽培に専用の土を使う理由は、ズバリ「水はけ」が良いから。
多肉植物は乾燥した気候で育つことが多く、湿気にとても弱いんです。
そのため、水はけが良く、乾きやすい土が最適とされています。
実際、水をあげすぎて枯れてしまうことはあっても、水不足で枯れることは意外と少ないもの。
それくらい「水はけ」は多肉植物にとって大切な要素なんです。
ホームセンターに行くと、園芸用の土がいくつか並んでいるのをみた事があると思うけれど、ぱっと見ではどれも同じに見えて、「とりあえず安いものでいいか」と選んでしまいがちじゃないですか?
でも、土にもちゃんと違いがあります。
たとえば、よく見かける「花と野菜の土(培養土)」は保水性が高いので、観葉植物にはピッタリですが、多肉植物に使うと根腐れを引き起こすことも。
なので、多肉植物の栽培にはやっぱり専用の土を使うのがオススメです。
市販の多肉植物用の土は、一般的な園芸用の土よりも砂が多く含まれていて、水はけや通気性をよくするために特別に配合されています。
経験豊富な方の中には、栽培環境に合わせて自分で土をブレンドする方もいますが、初心者には少しハードルが高いですよね。
そういった場合は、特に配合などを考える必要がなく、買ってそのまま使える市販の多肉植物用の土を使うのが手軽で安心です。
多肉植物に与える肥料のタイプと与える時の注意点
肥料も土と同じように種類があり、「使うタイプ」や「与えるタイミング」によって役割が異なります。ここでは、基本的な肥料の種類と与える時の注意点を確認していきましょう。
肥料の種類
肥料には効果が現れる速さと持続性の違いから「暖効性肥料」と「即効性肥料」に分けられます。
緩効性肥料
ゆっくりと時間をかけて植物に栄養を供給するタイプの肥料。
植え付け時に土に混ぜ込んでおく事で、長期間にわたり安定的に栄養を補給する事ができます。植物の基本の肥料となるので、これを「元肥(もとごえ)」と言ったりもしますね。
即効性肥料
効果がすぐに現れるタイプの肥料。
植物に元気がない時や短期間で成長させたいときに使います。ただし、効果が長続きしないため、頻繁に与える必要があるのがこのタイプの特徴。成長の途中で追加するため「追肥(ついひ)」とも呼ばれます。
多肉植物用の土に肥料は必要?
多肉植物用の土として売られているものは、その多くが、あらかじめ肥料が含まれているものです。さらに、多肉植物は他の草花と比べて成長がゆっくりなため、専用の土を使って栽培する場合は、基本的に肥料は不要と考えて良いと思います。
肥料を与える際の注意点
とはいえ、「大きく育てたいからどうしても肥料をあげたい!」そんな気持ちも分かります。
肥料をあげてはダメと言うわけではないですが、あげ過ぎてしまうと
- 徒長の原因になる(せっかくの可愛い形が台無しに…)
- 肥料やけを起こして枯れてしまう
- 成分によっては紅葉しなくなってしまう
と言ったリスクもあるので、肥料をあげる場合は、あげ過ぎに注意して観葉植物の1/2の量を目安にすると良いでしょう。
使う肥料によっては、寒くなってきても肥料がなかなか抜けず、紅葉しなくてガッカリ…なんて可能性も。
そんな事態を避けたい場合は、すぐに効いてすぐに抜ける液肥がオススメです!(これも1/2を守って下さいね)
大事なのは水分と乾燥具合のバランス
土や肥料についてざっくりと理解できたところで、次に栽培に適した「土の状態」についてご紹介します。
基本的に、多肉植物は鉢の中の土がカラカラに乾いている状態でOK。
特に生育期には、たっぷり水をあげた後、3〜4日くらいで再びカラカラに乾くようなペースで育てるのが理想的です。
ただ、どれくらいの期間で土が乾くかは、使っている土の種類や置き場所によってかなり変わってきます。
特に、日照時間や風通しの良さは大きな影響を与えるポイント。例えば、マンションの高層階だと風通しが良く、乾きやすい傾向がありますし、近くに線路や川がある場所だと風がよく通るので、さらに早く乾いてしまうこともあり、場所によって本当に様々。
そのため、「何日で乾くか」というのは一概に言えません。
目安がないと、初心者の方にとっては少し難しく感じるかもしれませんが、そんなときは割り箸や爪楊枝を使って鉢の中の状態を確認すると便利!
鉢の中がしっかり乾いているかを確認しながら、水やりのタイミングをつかんでいきましょう。
土の成分や肥料の選び方も大切ですが、それと同じくらい「自分の置き場所や管理方法に合った育て方」を見つけることが重要。
お世話をしながら、徐々にその感覚を掴んでいけると、きっと育成がもっと楽しくなりますよ!
育てる品種に合わせた水分量が大事
多肉植物は基本的に乾燥が好きな植物ですが、品種ごとに求める水分量は異なります。
ここでは、代表的な多肉植物の水分量の目安についてまとめました。
品種に応じてピートモスや培養土を追加して保水力を調整し、水やりの頻度も工夫しながら、お世話のコツをマスターしていきましょう!
セダム(虹の玉、乙女心など)
セダムはエケベリアに比べて水分を多く欲しがるタイプです。
虹の玉や乙女心などの大きめのセダムは、多肉植物用の土で育てることが可能ですが、粒が大きめの土であれば、ピートモスや培養土を少し追加して保水力を高めると◎
グランドカバー系のマンネングサなどは、鉢花と同じように表面が乾いたら水やりして大丈夫。
多肉植物用の土だと、あっという間にカラカラに干からびてしまうので、培養土のみか培養土を多めに混ぜた多肉植物用の土で育てると良いでしょう。
エケベリア
エケベリアは湿気やムレに弱く、特に梅雨から夏にかけてある日突然バラバラになる事があるので、とにかく水分量に気をつけて慎重に育てたい品種。
乾燥状態を維持することをあまりに重視しすぎると、ギュッとしまった可愛い形になる一方で、大きくは育たないのが悩みの種だったりします。
水はけが良く乾きやすい多肉植物用の土がオススメですが、保水力がない分、うっかり水を上げ忘れたことがつづくと、いくら乾燥に強い多肉植物でも枯れてしまうので、水やりの頻度には注意しましょう。
エケベリア(薄葉系)
※ラウレンシス、ブルーライト、シャビアナなど
これら品種は葉が薄く、葉に蓄えられる水分が少ないため、他の品種よりも頻繁に水を欲しがります。
ただし、たっぷり水を与えても、葉が吸い上げられる量には限りがあるので、水をあげすぎないように注意しましょう。
基本的には多肉植物用の土で育てられますが、保水力を高める用土を追加する際は慎重に!枯らしてしまわないか心配な人は、土をブレンドするよりも、水やりの回数を増やす方が簡単でオススメです。
まとめ
多肉植物の土や肥料、品種ごとの育て方についてご紹介してきました。
以下がまとめです。
- 多肉植物の栽培には「水はけ」の良い専用の土が最適
- 肥料には、ゆっくり効く「緩効性」とすぐに効く「即効性」がある
- 肥料のあげ過ぎは苗を枯らしてしまうリスクがあるので、観葉植物の1/2の量を目安に
- 土の乾きやすさは置き場所によって変わるので、まずは自分の栽培環境を理解することが重要
- 品種ごとに適切な水分量が異なるので、それに合わせた水分量を意識するのが枯らさないためのポイント
肥料は使い方次第で、大きく育てることも、枯らしてしまうこともあるので使い所が鍵。
品種や栽培環境に合わせた土選びや肥料選びで、元気な苗を育てて行きましょう!
執筆・執筆協力
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実家から株分けしてもらったポトスをキッカケに植物にハマる。
今までに育ててきた植物は10種類くらい。もっと色々な植物にも挑戦するべく日々勉強中です。