みんなを惑わす「クラッスラ」って?一筋縄ではいかない多肉植物・クラッスラ属の魅力
クラッスラ属と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
ある人は「火祭り」を、またある人は「星の王子」を思い浮かべているかもしれませんが、私は断然「ゴーラム」です!
この3つを挙げただけでも姿の共通点が見つけにくい、クラッスラ属。
実は、大きく成長した姿が多肉植物には見えない品種があって、多肉植物好き以外にも密かに愛されている品種もあります。
これもクラッスラ?これでも多肉植物?と、個性的な風貌でみんなを惑わすクラッスラ属ですが、ホームセンターなどで見かけた時に、あまりの個性に悩んで、手に取れなかった方も居るかもしれません。
『クラッスラって気難しく見えるから育てるのが難しそう』
『すごい変わった形の多肉植物を見つけたけどクラッスラって書いてあって不安で買うのやめた』
と、独特な風貌に引いてしまい、怯えてクラッスラ属に手を出せなかった方へ。
多肉植物の枠に収まりきれないクラッスラ属の魅力を、一緒に紐解いていきましょう!
この記事の目次
変幻自在の多肉植物「クラッスラ」に憧れて…
私自身の憧れでもあるクラッスラ属。
突然で申し訳ないのですが、面倒くさ…いや呼び慣れているので、ここからは属を省いて「クラッスラ」と呼ばせてください。
変わった姿が多く、1度は育ててみたいと思っている品種がたくさんありますが、流通量が少ないからなのか、ライバルが多いせいなのか、お目当ての品種にはなかなか出会えません……。
3〜4センチほどの小型の品種から、数メートルに達する大型の品種まであり、大きさだけでなく形状も多種多様。
ほとんど木にしか見えない品種や、ユニークなフォルムの品種もあり、コレクションしたくなるような多肉植物で、昔から日本で愛されてきました。
しかし「クラッスラ」とひとまとめにしても、育ち方(育て方ではありません)が違い、一筋縄ではいかないので、姿や特徴の違いで見ていきましょう。
赤くなるクラッスラ
火祭り
普通の多肉植物も紅葉しますが、クラッスラの赤さは半端ない赤で、根元から葉先まで深紅に染まる品種も多数あります。
赤くなるクラッスラの代表的品種は「火祭り」で、ホームセンターでも手に入る品種なので、一度は目にした方も多いのでは?
夏は緑で葉先がほんのりと赤いかも?ぐらいですが、寒くなるにつれて根元まで真っ赤に紅葉する姿は、まさに火祭り!
完全に放置していたら、どんどん伸びてウネウネになるので、急激に姿が変化する品種に慣れていない方には、少し刺激が強いかもしれません。
以前クリスマス仕様で、白いポットに火祭りの先端だけカットして挿した火祭り丼を作ったところ、ほとんど水やりせずに飾っていたら、無事に春まで形を変えずに過ごせました。
しかし、暖かくなった途端に暴れまくりましたが……。
「赤鬼城」や「紅稚児」なども真っ赤になりますが、日光に当てないときれいな赤が出ないことがあります。
とにかく重なって伸びるクラッスラ
重なって伸びるのは、クラッスラの基本的な習性なのでしょうか?
重なって伸びる代表的な品種といえば「星の王子」。
火祭りなども放置していたらウネウネと伸びますが、均等な大きさで積み重なる姿勢の良さは星の王子にはかないません!
他にも「十字星」や「星乙女」「愛星」などもピシッと重なって伸びるので、星が付く名前のクラッスラは、葉の形は違っても重なって伸びるんだろうなぁと想像して間違いないでしょう。
上から見たら星の形でグングン伸びる可愛い奴ですが、横から見た時のフォルムが若干シュールな所も、クラッスラ特有の惑わせポイントの1つといえるかも?
プリっとした葉が重なって伸びる、キュートな姿に似つかわしくない、日本っぽい名前「紀の川」はアフリカ原産で、名前と原産国のギャップで多肉好きを惑わせてきます!
木にしか見えないクラッスラ
テトラゴナ
とげとげしい葉がグングン育って広がるので、アップにしたら木にしか見えない品種もあります。
「若緑」と「ムスコーサ」はアップで写すと、どっちがどっちかわからないぐらい似ていますが、肉眼で見たら大きさの違いで判別できます。
ムスコーサは「青鎖竜」という勇ましい別名のとおり、伸びると竜のようにうねりだす姿がカッコよく、若緑は立ち上がりながら横に広がる這い性のコニファーのように、野趣溢れる姿に。
「テトラゴナ」の、一本のスッとした幹にシュッと細い葉が互い違いについている姿は、木以外の何ものでもありませんが、やっぱり多肉植物。
枝分かれして育ち、幹が木質化したように茶色になって見える品種が多いのも、クラッスラならではかもしれません。
どんな形をしていてもクラッスラ
神刀
「規則正しく伸びなくても元気に育ってくれればいい」と思うような独特な姿の品種も多く、クラッスラなら、もう何でもアリ!
「ゴーラム」は葉が独特なだけでなく広がり方も独特で、別名が「宇宙の木」なのも納得の世界観を持っている品種ですが、実はホームセンターでも手頃な価格で手に入ります。
しかし人気の品種で、次に行った時はない可能性がある(私も経験アリ)ので、見かけたら絶対に手に入れたい品種です!
「神刀」は名づけの親に拍手を送りたくなる切れ味抜群のフォルムで、他の多肉植物とは一線を画す、日本刀を構えているような凛とした佇まいですが、アフリカ原産……。
「ラティケパラ」は、剣先のように鋭く尖っているのにムチムチな、可愛いんだかカッコいいんだか理解できない葉を持っていて、神刀と同じくギャップの魅力で私を惑わせにくる品種です。
日本で1番知名度が高いクラッスラ
金のなる木
ある程度の年齢層の方なら知らない人はいないのでは?と思うぐらい知名度が高く、多肉植物を知らない方にも浸透している、ある意味クラッスラの代表的な品種ともいえる「金のなる木」。
私もはるか昔小学生だった頃に、友達の家で読んだ漫画雑誌で、大金が舞い込む財布や幸運が訪れるネックレスなどと一緒に掲載されていた【金のなる木】の広告を目にした覚えがあります。
小学生だった私の心には、その木を買えば札束だってなりそうな景気のいい植物だと刷り込まれたものの、たかが小学生のお小遣いではとうてい手が届かない価格だったので、諦めました。
時は過ぎ、ホームセンターで売られていた名札のなかった多肉植物を飾っていたある日、ご近所の方から「あら〜!金のなる木、懐かしい〜」と声をかけられて、その多肉植物が金のなる木だったと判明したのです。
小学生の頃に欲しかった物がすでに手に入っていたことに驚き、色々と調べたところ、新芽に5円玉を通して成長させて、お金が実ったように演出していただけのようで、買えなくてむしろ良かったのかもと思いました……。
冷静に観察してみると、普通の住宅の玄関先はもちろん、商業施設や飲食店などでも、大きな鉢に植えられて観葉植物のような顔をして佇む金のなる木を見かけるので、多肉植物だと自覚せずに育てている方も多いのでは?
最近は、金のなる木ではあからさまなせいか「花月」と表記されて販売されている苗を見かけます。
大きくなりやすく可愛い花が咲くので、ファーストクラッスラ(そんな言葉があるのか知りませんが)に、オススメの品種です。
けれど、毒性があるので犬や猫が食べないように気をつけてください。
我が家の犬は、散歩に行った時の空き地の雑草以外の植物は口にしないので安心?ですが、何でも口に入れちゃう子達は用心しましょう。
クラッスラは寒さや蒸れに弱い?
寄せ植えからひょっこり顔出す若緑
私自身、クラッスラに憧れるゆえに、枯らすのが怖くてたくさんの品種を育ててきたわけではありませんが、木質化して大きくなった株は寒さでフニャフニャになったり枝がボトッと落ちたりと、冬にダメにしてしまった経験が多々あります。
金のなる木も、開花直前で寒さにやられて根元からグニャっとなり「私の金運がーー」と嘆いたことがありましたが、春になったらダメになった根元の横から新芽を出して、復活してくれました。(私の金運の勢いが上がることはなかったですが)
若緑は、植えていないのにいつの間にか薔薇の根元に着陸して、順調に増えてコニファーみたいで絵になっていましたが、いつの間にか全滅していました。
若緑の鉢をモミの木に見立てて、クリスマスのディスプレイをしたことがあって、寒さに弱いイメージはないので、こちらは群生して蒸れたのが原因なのかもしれません。
ただ、若緑に関しては、なくなったと思ってもどこからか出没して一気に大きくなるので、神経質にならず見守って(放置して)います。
寒さに弱い品種が多いのは間違いないので、大事な品種があれば、寒くなる前にガードして守りぬきましょう!
怖がらず唯一無二の自分だけのクラッスラ属を育ててみよう
独特なフォルム同様に少しだけ手がかかりますが、一筋縄ではいかない世界観のある魅力で、みんなを惑わすクラッスラ。
けれど、伸びたり大きくなったりといったクラッスラの特性を活かして、唯一無二の姿を自分の手で創り上げる喜びも与えてくれます。
気になるクラッスラがあるけど不安でためらっていたという方は、どこかで出会った時が運命だと思って、挑戦してみてはいかがでしょうか?
執筆・執筆協力
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九州在住、多肉植物をこよなく愛するマルツキコです。
愛犬とともに自然豊かな環境で、多肉植物を育てています。
不器用でガサツな私でも育てられる多肉植物の魅力などを紹介していきますので、よろしくお願いいたします。
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